司法は没収で暗喩した

植草元教授に有罪判決 東京地裁(朝日新聞)
「元早稲田大学大学院教授の植草一秀被告(44)に対し、東京地裁は23日、罰金50万円、手鏡1枚没収(求刑懲役4カ月、手鏡1枚没収)の判決を言い渡した。 」

刑法の19条1項2号をご覧下さい。

第19条(没収)

「次に掲げる物は,没収することができる。

② 犯罪行為の用に供し,又は供しようとした物(以下略)」

没収とは犯罪に関係のある物について原所有者の所有権を剥奪して国庫に帰属させる刑罰のことです。

19条1項2号のことを犯罪供用物件と呼びますが、判例上犯罪供用物件は、単に結果からみて犯行に役立っただけでは足りず、犯人がこれを犯行の用に供し、または供しようとする意図で使用したものであることを要するとされています(名古屋高裁 昭和30年7月14日)。

没収は,現行法上刑罰ですが,社会にとって有害な物を除去するという保安処分でもあるといわれますが、特定の手鏡に危険性があるとは思えません。

しかも没収は原則任意(絶対にしなくともよい)手続きですので、本判決においてことさらに手鏡の没収を宣言することは多少奇妙な感じもします。

しかしその意味を上記判例の要件に当てはめていただければ、司法の言外のメッセージが読み取れるかもしれません。



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