報道:やりすぎる第四権力

「フライデーで名誉毀損」静岡の強盗殺人容疑者が提訴(朝日新聞)

民法の710条をご覧ください。

第710条〔非財産的損害の賠償〕

「他人の身体,自由又は名誉を害したる場合と財産権を害したる場合とを問はず前条の規定に依りて損害賠償の責に任ずる者は財産以外の損害に対しても其賠償を為すことを要す」

名誉毀損があって私人と私人が戦う時は、民法の710条に該当する事象があったのではないかを争います。

そしてこれに関しては、通常ロス疑惑と呼ばれている事件に関する報道を名誉毀損で争った有名な判例があります(最高裁 平成9年9月9日)。

その判例では、意見や論評の表明による名誉毀損につき、事実に関して「真実の証明」があれば免責され、もしその証明がない時にも、事実を真実と信じたについて相当の理由があるのなら罪にならないのだとしています。

裁判所の言葉を意訳すると、事実じゃなくても真摯な態度であればその報道は許容されるべきというような判断です。

しかし同じ判例で、たとえその他の報道により既に世間に広く知られた周知性があろうとも、それだけでは報道に相当性があることにはならないと結論づけています。

そしてこれによって、結局ロス疑惑名誉毀損裁判では、報道側は敗訴しています。

これを意訳すれば、世間の評判だけでは報道が正当だとは呼びえないという意味です。

報道による名誉毀損裁判というものは、法的判断における表現の自由と人権問題の対立をいつもあらわに問題提起するものです。

そして注目すべきことに、ロス疑惑報道での三浦和義氏は、関わった名誉毀損訴訟において 実にその8割を司法の場で勝利に終わらせています。

これをいいかえれば、報道とは8割方常にやりすぎている権力機関なのだともいいかえられそうです。

 

 



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