幸福をよこせと1億3000万人が掴みあった

『夜のバイク、騒音うるさい』53歳無職、少年刺す(東京新聞)

憲法13条をご覧ください。

第13条〔個人の尊重,生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕

「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」

自分の好きなオートバイを好きなだけ、昼だろうが夜だろうが乗り回せたらどれほど楽しいでしょう。

私もオートバイが好きなのでその気持ちわからなくもありません。

しかし少しお考えいただければわかるように、この日本列島の内側だけで1億3000万人が好き勝手をやり始めたら収拾がつかなくなります。

このため私達の自由には13条で「公共の福祉に反しない限り」というブレーキがかけられています。

これを法律的な言い回しで「人権相互の矛盾衝突を調整するための実質的公平の原理」による制限といいます。

あなたから見て公共の福祉とは、とりもなおさずあなた自身からの抑制の要求のことです。

少々幻想的な表現をすれば、「あなた一人の自由は、その他1億3000万人のあなたの要求によって制限されている」というお話です。

少年のオートバイを乗り回したい自由は、年老いた時の彼自身の安眠したい自由によっても制約されます。

ただしルールを破る少年を黙らせるのはあくまで公共の福祉であり、刃物であってはなりません。

あなたがもしそういう衝動を行動に移したときは、やはりあなた自身が権力を委託した国家権力の出動による強力な刑罰が待ち構えています。
 

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