堤前会長、号泣…一夜にして“変心”、弁護士も解任(ZAKZAK)
民法の651条をご覧ください。
第651条〔委任の相互解除の自由〕 「委任は各当事者に於て何時にても之を解除することを得」 |
弁護士も依頼人も、いつでも契約を解約することができます。
なぜなら委任という契約はもともとお互いの信頼関係を基礎に成立させる契約であり,もしその信頼がなくなった時はいつでも解約できるとしておくことこそ委任という関係にそぐうからです。
受任者はそもそも委任の趣旨に沿ってできるかぎり一生懸命任務を遂行しようとします。これを善管注意義務と呼びます。
本件でいえばおそらく弁護士は一生懸命西武の一体支配を維持しようと奔走したはずです。
しかし当の依頼人から委任の目的が消失してしまっては善管注意義務が逆ベクトルに向かうように感じたかもしれません。
堤義明さんのお父さん、堤康次郎さんは焼野原になった池袋や、敗戦直後で納税に苦しんだ華族の土地を、バーゲン価格で買いあさることで基礎を築きました。
そのときピストル堤と呼ばれた父は「我帝国と運命を共にする」という英国人の有名な言葉を繰り返したそうです。
血族が支配する時代は一人の男の不可解な死が幕を引きました。
かつて運命を共にしたはずの帝国は、不合理な専制の存在を許さない近代国家に姿を変えてしまっていたのです。