レッセ・フェールの蚊帳の影

コミック本万引き訴訟、OLが防犯費支払い書店と和解

民事訴訟法の267条をご覧ください。

第267条(和解調書等の効力) 

「和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」

和解の趣旨は処分権主義にあります。

ここで処分権主義とは、当事者が自ら訴訟による解決を図り,かつ,その訴訟を処分する主義のことです。

これは民法の背骨である私的自治の原則が、訴訟ルールに染み出したものです。

訴訟上の和解にはそのため267条で確定判決同様の強力さを保障されています。

法律関係形成において個人の意思を重視する考え方は自由な商品交換を前提とする経済的自由主義が支配した初期資本主義社会が築上したものです。

しかし世の中が徐々に複雑になってくると、ジリジリとこのフィールドは権力によって狭められつつあります。

今回の訴訟では、OLさんがサクっと7万円を万引き代として支払うことに同意しました。

このことは一面で(たとえ無意識であったとしても)、私的自治の原則という、ちょっとヨレヨレになっている蚊帳の影を濃くすることには資しているのです。
 
 


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