戦争に負けるとカーストが音を立てて崩れ落ちた

都の管理職試験制限、「国籍条項」は合憲・最高裁

憲法の14条をごらんください。

第14条〔法の下の平等,貴族制度の否認,栄典の限界〕

「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」

戦前の日本には、(1)天皇→(2)貴族→(3)平民の男→(4)平民の女という人間の格付けが頑として存在していました。

そしてそれについては特段の疑問も持たれることはなく、社会は運営されていたのです。

それは何百年も前のことではなく、世界中を巻き込んだ二回目の戦争で日本が負けるまであなたとわたしが暮らす同じ土地の上に存在していた、いわばはっきりとしたカースト制度でした。

戦後憲法の14条は、そこになんら疑問を持たれることなく存在していた日本国内における人間のランク付けに異議を唱え、貴族などという特権階層は廃止し、誰もがみな平等なのだと公に宣言した一文です。

そういった14条立法の歴史をなぞるとき、外国人の方々が公務就任権を14条で争うのは、14条立法の趣旨を逸脱しているという主張も存在しています。

公務就任権は国の政治に参加するという性格を有していて、国の政治の方向を決定付けるのはわたしたち国民なのだという国民主権原理上、外国籍の方々にそういった権力は憲法は保障していないと学説は考えるのです。

ただし海外旅行もままならなかった憲法の立法当時における外国人の法的な解釈と現在のそれは、異なってきてもある意味自然なはずです。

もし理論的に外国人という存在が国民主権の枠内に相容れないというのなら、そろそろ、「公務就任権のない外国人」という枠への定義付けそのものを修正してもよい時期にさしかかっているのではないでしょうか。

生まれてからずっと日本で育ち、国籍だけが日本にない人々がわが国にはたくさんいるわけです。

そうした方々が参政権の枠外に今後も取り残されてよいものかどうか疑問が残ります。

国力の強化とは、世界から孤立することではないはずだからです。

 
 

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