弁論主義の鉄火場に事実認定が放り込まれた

米軍不訴追の米兵暴行、東京地裁が民事訴訟で認定

民事訴訟法の179条をご覧下さい。

第179条(証明することを要しない事実)

「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は,証明することを要しない。」

裁判では,事実を認定してから,これに法律を適用します。

これを法的三段論法とよびます。

その事実があったかどうかは、法的三段論法によってはじき出されることになっている結論に直接影響します。

民事訴訟のおおまかにいって黙っているほうが負ける仕組みになっています。

これを弁論主義と呼びます。

私人間の闘争をもし国が裁くなら、どのようなルールによろうとも、きっと後から不満をもつ人がでてくるはずです。

このため国は、当事者の主張から一歩下がったところで判定することが結果的に迅速に、しかも終わった後で、誰もが文句をいいづらくなるよう、この弁論主義を採用しているのだと考えられます(私見)。

法廷における私的自治の展開ともいいかえられそうです。

民事訴訟法において、弁論主義が妥当する領域では179条により当事者の自白、および顕著な事実以外は認定が必要です。

そして今回、暴行が認定されました。

適法に認定された事実は上告審をも拘束します(321条)。

つまり、暴行の事実認定は、女性側にとっては強力な武器になるのです。
 


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