談合はフラクタルに自己増殖する

業者“自己申告”「談合しました」 

刑法の96条の3をご覧ください。

第九十六条の三(競売等妨害)

「偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札の公正を害すべき行為をした者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。
2 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。」

談合罪とは刑法上、公正な価格を害する目的あるいは不正の利益を得る目的で,公の競売又は入札の競争者があらかじめ互いに相談し,その1人に競落又は落札させるように約束する罪をいいます。

その罪を設けた趣旨は、国費の負担を軽くすることにあり、この意味で本罪は、実は広義の公務執行妨害罪に属します。

しかしこの行為、何十年にもわたって当の建設業者と法律との間に埋められない大きな意識の差があるようです。

建設業者にしてみれば、「互いが倒産しないようにするには、談合はなくてはならないシステムなんだよ。法律で押さえようとするようが実情を知らない、学者のたわごとだ」といったところでしょう。

はたして本当にそうだとすれば、法のほうを整備しなおさなければなりません。

しかし問題を逆から見れば、原因は建設業界がやたらと下請け構造をつくることで、業者の数を増やしてきてしまったことにあるのかもしれません。

建設業界でもっとも利幅が大きい仕事とは、当然体を動かさない丸投げというヤツです。

丸投げを請けた下請けも、利幅が欲しいので孫請けに丸投げします。

結局、ひ孫請け、やしゃ孫請け・・・と利潤を追いかけてどんどん下請けの下請けを引き受ける業者を、業界全体が要求する素地が出来上がります。

ひいては建設現場における品質低下が不可避に引き起こされます。

そうした段階を経て抜かれまくった予算では、まともなものが建てられないという至極当然の結果が待ちかまえています。

この際、無限連鎖講のごとくひろがっていく建設ピラミッドを封じるべく、ある程度のレベルで下請けを封じる法を設けたほうが有効なのではという仮説さえ成り立ちます。

いや、考えれば考えるほど、この部分の法制が存在しないことが諸問題を生んでいる気がしてきました。

現場に来た職人さんも、本当は健全な予算の下で全うな仕事がしたいにちがいないのですから。

 

 

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