父親という男と併合加重の限界

求刑上回る懲役18年 実子2人に性的虐待の男に判決

「朝山芳史裁判長は最も信頼すべき父親から究極の性的虐待を受け、2人の屈辱感、悲しみ、無力感は筆舌に尽くしがたい。求刑は軽すぎるとして、求刑を3年上回る懲役18年を言い渡した。判決によると、男は98年ごろから長女に性的関係を強要。01年からは包丁で脅すなどして次女にも性的虐待を繰り返した。朝山裁判長は検察官の求刑は尊重すべきだが、これ以上の悪質な事件は想定できず、刑の相場は存在しないと指摘。複数強姦罪を併合加重した場合の最高刑である懲役20年に近い同18年が相当と判断した。 」

刑法の45条をご覧下さい。

第45条(併合罪

「確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは,その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り,併合罪とする。」 

強姦罪は刑法177条によって2年以上の有期懲役に処せられます。

一方併合罪とは、確定前の罪をまとめて判断することです。

併合罪では、二個以上の罪について有期の懲役・禁錮に処すべきときは、そのうちで最も重い罪について定められた刑の最高限の一倍半までの範囲内で処罰します。

これが併合罪加重です。

強姦罪自体に最高刑は書いてないのですが、刑法14条に有期の懲役又は禁錮を加重できるのは、二十年までだと書かれています。

朝山裁判長がくやしがったのはこの点です。

ちなみに奇しくも今日成立した改正刑法によれば最高刑は30年までOKになりますので、こういうケースでは30年近くこの鬼畜を檻に留め置けたかもしれなかったからです。
 
罪数論の人権保護的思想が、今回裏目にでてしまっています。
 

 
法理メール?