簡裁悪用の架空請求となす術を知らぬ私たち

簡裁悪用の架空請求、放置すると“本物”の督促に

長崎県内に住む30歳代の男性会社員のもとに、地元の簡易裁判所から支払督促が送られてきた。男性は、この業者に心当たりがなかったため5日間放置していたが、不安を感じて、消費生活センターへ相談。簡裁から送られた正式な支払督促と分かり、異議を申し立てたところ、業者は請求を取り下げた。」

民事訴訟法の386条をご覧ください。

第386条(支払督促の発付等)

「支払督促は,債務者を審尋しないで発する。」 

この督促、書面審査上、要件にかなっていると書記官が認めれば即、発射されてしまいます。

これは通常の訴訟手続のように口頭弁論や証拠調べなどの煩わしい手続を伴わず、まさにだれにでも訴訟手続を利用しやすくしようとした点を逆手に取られているわけです。

もし2週間以内に異議申し立てしなければ借りてもいない債務が法律上成立してしまいます。

さらに悪いことに送られてきたものが仮失効宣言付の支払督促だった場合、これを2週間無視すると確定判決と同一の効力を持つようになり、こうなるとたとえ相手が詐欺師だと裁判所がわかっていたとしても、国家権力をもってあなたは借りてもいない借金の返済を強制させられるはめになります。

私見ですが、この付け火のような行為に対する消火方法が異議申立てしかないというのは、 2つの視点が欠けている点で立法に過誤がある(法律の形式、内容等に誤りがある)
ように思えます。

それは、裁判所は裁定するだけで、まさか自分が”利用される”とは思いもせずに立法していること、および国民は皆、司法制度に精通していると見做してしまっていることです。

以上の2点を含めた新しい視点での、早急な対応策が必要だと考えます。
 

 
法理メール?