自白:証拠の女王

検事が被告の妻に「自白させて」圧力・二審で無罪確定

「一審・高知地裁で公判中の同年11月、捜査、公判を担当した高知地検の検事が八恵さんを地検に呼び、「きちんとしゃべらせてほしい」「認めていれば刑務所に入ることもない」などと一方的に話し、面会の際、真一郎さんを説得するよう求めたという。」

検察庁法の4条をご覧下さい。

第4条

「検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。」

この条文には、検察官は単に利害対立を前提として一方の利益を追求するといった地位にあるわけではなく、公益の代表者として裁判所に法の正当な適用を請求すべき地位にあるべきだということが書いてあります。

検察官は確かに社会秩序の維持に奉仕する行政官ではあります。

しかし告人の正当な利益も十分に配慮し、手続の適正を確保する準司法官的役割を果たすことが要請されているのです。

ではなぜ今回の検察官は、間接的な自白の強要に走ったのでしょうか?

まさか高知地検の検察官が4条を無視して、現実問題ノルマに追われる事件件数処理マシンの一部に成り下がっていたということではないと信じます。

かつて自白を証拠の女王と呼び、あらゆる手段でこれを強制した時代が続きました。

そして今回の一件も、残念ながら今日もなお自白追求型の捜査が行われている片鱗を匂わせるものではあります。
 

 
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