公正という幻想を株主は追わない

西武鉄道、取締役会7年も開かず

複数の元取締役は「堤義明前会長と、その全面委任を受けた前社長の意向が会社の方針で、開く必要がなかった」と話し、同社も開催していなかった事実を認めている。取締役会は最低でも3か月に1回開くことが商法で義務づけられており、罰則規定はないが、識者は「重大な法令違反で、株主への背信行為」と指摘している(読売新聞)」

商法の260条の3項をご覧下さい。

第260条

「3 取締役は3月に1回以上業務の執行の状況を取締役会に報告することを要す」

なぜ260条に背いて、取締役が取締役会を開かないことが株主への背信行為にあたるのでしょうか?

国の仕組みでは私たち国民が国会議員を選び、議員が国会で総理や法律を決め、総理が法律を執行し、裁判所が運行状況をチェックします。

同じように株式会社では私たち株主が取締役を選び、取締役会が代取や決議を決め、代取がこれを遂行し、監査役が、チェックします。

つまり取締役会が行われていなかったという状態は、国でいえば総理がやりたい放題に国の方針を決めているようなものなのです。

後の頼みは監査役だけですが、監査役会社が構造上本来の意味で機能できていないことは誰もが気づいています。

逆に言えばアクセル全開に会社を支配したければ、取締役会と監査役会を有名無実化してしまえばいいのです。

そして今も出資金という多くの利権の集まる大きな会社でそれが行われています。

しかしある意味で、株主が株式の売却益だけに集中し権力者の公正などという幻想に必要以上に執着などせず会社の経営にかかわろうとしない態度は、権力委託者と受託者の関係において正しい選択なのかもしれません。

なぜならあなたもわたしも現実問題、もしその椅子に座ることが許されるのならば、きっと三日も権力を濫用することを我慢できないにちがいないのですから。
 

 
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