門松と宗教的計測装置

中高年の力作「門松」完成、都庁でお披露目へ(読売新聞)
「東京都立川市の都立技術専門校「キャリアカレッジ立川」で16日、東京都庁に飾る門松が完成した。」

憲法の20条1項をご覧下さい。

第20条

「1 信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も,国から特権を受け,又は政治上の権力を行使してはならない。」

門松とは、古来神道の風習であったといいます。

それは年神様と呼ばれる神を正月に家に迎えるための家の門にたてる目印であると信じられていました。

狭義における神道とは、戦前の中央集権体制の下での天皇崇拝としての国家神道を意味します。

わたしたちの憲法上、国家と宗教との関わりについては20条1項後段・同条3項・89条前段が政教分離原則を定められています。

それは国家と宗教が結びつくと個人の信教の自由が害され、加えて民主主義は価値相対主義に基づくため、国家が特定の宗教と結び付くことが民主主義にも反するためです。
 
そうすると都立技術専門校が学生に神道のアイコンたる門松をつくらせ、それを都庁に運び込むセレモニーが、政教分離原則に抵触していないか神経質に問題提起することも可能です。

ただ法的に検討してみると、その目的はシニアのスキルアピールにあり、また効果においても、門松は現代においてすでに世俗的な存在になっていると認められ、直接的には国家神道とのかかわりあいも認められないので、政教分離原則に違反しないと考えられます。

このように、目的と効果で行政と宗教がマズイことになってないかを計測するツール目的効果基準と呼ばれます。

それはアメリカのレモンさんという人が考えたレモンテストと呼ばれる基準がベースになった、我が国における政教分離の判断装置です。

 

 

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