ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の第一条をご覧下さい。
第1条(目的) 「この法律は、自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在し、健康で文化的な生活を送ることができないでいるとともに、地域社会とのあつれきが生じつつある現状にかんがみ、ホームレスの自立の支援、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関し、国等の果たすべき責務を明らかにするとともに、ホームレスの人権に配慮し、かつ、地域社会の理解と協力を得つつ、必要な施策を講ずることにより、ホームレスに関する問題の解決に資することを目的とする。」 |
平成14年8月、意に反してホームレス生活を余儀なくされることになった方々の自立支援をすすめる「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が施行されました。
昨日、新宿駅でホームレスの人が「ビッグイッシュー」を売っているところに初めて遭遇し、一冊売ってもらいました。
ビッグイッシューというのはホームレスの自立を支援する英国発の雑誌運動で、一部200円の売り上げが彼らの収入になります。
私が求めた号のなかに、販売員である牧田将宏さんのこれまでの人生について記事がありましたのですこし引用させてもらいます。
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「幼い頃に生まれ故郷の岐阜県を離れ、大学卒業までを大阪で過ごした。化学を専攻していたこともあり大手製薬会社に就職。何度かの転職で、油田プラントの開発のためにクウェートに勤務したこともあった。
そして家族も持たずにきて昨年定年を迎えた時は高速道路の建設技術者だった。
次の働き口がないわけでもなかったが再就職はしなかった。
仕事で全国を飛び回って来たけど、都市と都市の。あいだの風景を見たくて、幾らかの貯えを手に、長野県から自転車で放浪の旅に出た。
好きな俳句を詠みながら、飛び込みで手伝いをした農家に泊めてもらったりして、何とか生活してましたね。
神社なんかにも泊めてもらって8か月後、上野にたどり着いた時には、所持金は10円玉3枚と1円玉数枚になっていた。せっぱ詰まって周辺の飲食店などの仕事を探してみたが全て断られ、初めて路上生活を経験した。
ぎりぎりの所まで思い詰めていたあの時が、一番しんどかった。
ちょうどそんな時、公園でビッグイシューの販売員を勧誘している一団を見つけたのだ。」
(ビッグイッシュージャパン 第五号より)
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この方は少なくとも私よりは華やかな経歴を持っていて、そういう人が現実に今アメ横でこの支援雑誌を売っているわけです。
自立支援法1条に「自立の意思がありながら」とあるように、ホームレス問題とは社会が人の柔らかい部分を押し込めることで利益を強烈に出す構造になっている、その弊害が長期的に人の精神に蓄積していく問題の話だと個人的には解釈しています。
ホームレス問題とは勤勉でない人々の個人責任の問題ではないことは、これからの世の中もっと顕著化していくとおもいます。
「すべてあんたの責任だ」などといえてしまうほど、社会はまだ人間の心の仕組みのことを完全に理解できていないと考えます。
法理メール?